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国保と後期高齢者医療保険のアンケートからみた加入者の実態と今後の課題

千葉県社保協


1.はじめに

 千葉県社保協は「国保。後期高齢者医療保険の実態調査アンケート」(2月15日~3月31日)を行い、全体では1082人で、国民健康保険572人、後期高齢者医療保険510人から回答を戴きました。
 このアンケートを実施した団体は県内の民主商工会、新日本婦人の会、年金者組合、生活と健康を守る会、農民運の5団体と地域の社保協で、県社保協として、国民健康保険(『国保』)・後期高齢者医療保険(『後期』)での「アンケート」は初めてです。
 いま、①3年半を越す新型コロナ感染による影響②所得格差による暮らしの困難③食料品・原材料、電気代等の高騰のもとで、組合健保や協会けんぽに比べて大変高い保険料・税が課せられており、『国保』『後期』の加入者の実態と声を聞くことが大変重要と考えたからです。
 『国保』と『後期』加入者では高齢者が多く、『国保』では非正規などの被用者などの低所得と無職の人が80%を占め、『後期』では無職で年金生活者か゜多数です。こうした加入者の保険料(税)の負担の重さ、その支払いのための困難、そして、マイナ保険証の導入・健康保険証の廃止、また社会保険料の負担増の動きもあり、暮らしでの困難の実態をきちんと把握し、適切な対応策を検討・実施することが緊急に求められています。

2.アンケートに見える加入者の深刻な実態

「保験料が高い」…『国保』で82。8%、『後期』では78.0%
 『国保』では保険料が「高い」82.8%、「普通」10.9%、「安い」0.9%、「「わからない」5.4%です。
 「『後期』では保険料が「高い」78.0%、「普通」15.2%、「安い」1.2%、「「わからない」5.7%です。

「保険料の支払い」では「無理して支払い」…『国保』で53。9%、『後期』では46.9%
国保料・税の支払いが、「無理なく支払い」43.1%で、「無理して支払い」53.9%にもなり、「滞納している」人も3.0%います。『後期』では「無理なく支払い」52.7%、「無理して支払い」46.9%、「滞納している」0.4%です。

「無理して支払い」では「生活費を削って」…『国保』で61.8%、『後期』では50.6%
 『国保』では「無理して支払って」いる人のうち「生活費を削って」が61.8%、「預金を取り崩して」21.1%、、「事業にあてる経費を削って」も14.3%おり、「家族・親族などの支援で」という回答も5.0%になります。今後の支払いについては「無理なく」は23.1%で、「無理すれば」70.1%、「滞納せざるを得ない」は6.3%にものぼります。
 『後期』では「無理して支払って」いる人のうち「生活費を削って」が50.6%おり、「預金を取り崩して」26.3%、、「家族・親族などの支援で」も6.4%おり、「事業にあてる経費を削って」も6.0%おります。今後の支払いについては「無理なく」は26.7%で、「無理すれば」61.8%、「滞納せざるを得ない」は7.5%にものぽります

「くらしで困っていること」…『国保』では「食費・光熱費など」49.5%、「税金の支払い」39.4%、『後期』では「食費・光熱費など」45.7%、「老後の暮らし」39.4%、
 『国保』では「くらしで困っていること」は、「食費・光熱費など」49.5%、「税金の支払い」39.4%、「国保・年金の支払い」33.3%、「老後のくらし」36.5%、「借金の支払い」 
 『後期』では「食費・光熱費など」45.7%、「(病気」30.2%、」「税金の支払い」20.0%、「国保・年金の支払い」16.8%、「老後のくらし」39.4%、「介護」12.2%となっています。

「病気になった時、治療費が心配でかかれない」…『国保』で4.7%、『後期』でも3.1%、
 『国保』では「病気になった時、病院にかかれますか」との質問には、「かかれる」93.1%、「治療費が心配でかかれない」4.7%、「仕事が休めず、受診できない」3.9%となっております。
 『後期』では「病気になった時、病院にかかれますか」との質問には、「かかれる」95.0%、「治療費が心配でかかれない」3.1%、「仕事が休めず、受診できない」l.3%となっており、「近くに医療機関がなく、受診できない」0.7%、「保険証がなく受診できない」も1人います。

509人を超える回答者からの切実な「意見・要望・声」…「保険料が高すぎる」、「少ない年金、窓口負担2割化はやめて」

 アンケートでは「支払いで困っていること」「滞納の支払いで困っていること」「国や自治体に対する要望」の三点について、回答者の意見や声を尋ねました。
 全体では509人を超える人から意見・要望などを戴きました。別紙にあるように二つの保険制度に共通して、「保険料・税が高い」「高すぎる」「引き下げて欲しい」「少ない年金で生活が大変」「保険料が天引きされて困っている」との切実かつ緊急に対応が必要な実態が明らかになっています。「マイナ保険証」について30人近くから「マイナ保険証反対」、「現在の保険証を残して欲しい」などの意見が寄せられています。また、「税金は軍事費に使うのでなく、医療、年金に使って欲しい」などの声もあります。

子育て世帯の「くらしと健康」の実籐調査を

 アンケート回答者の多くは中年、高齢者が多く、国保加入者のなかの36.5%の被用者の回答があまりありませんでした。しかし、県社保協が実施した自治体対象の「国保アンケート」では資格証明書発行世帯のうちI8歳末満は1083人います。
 県の『千葉県子ども生活実態調査』(令和元年に実施)では「子どもを医療機関で受診させた方がよいと思ったが、実際に受診させなかったこと」が「あった」が、困窮層で小学校保護者では20.2%、中学校保護者では26%にのぽります。その理由として小学校保護者では「公的医療保険に加入しておらず、支払いができないため」5.4%、「公的医療保険に加入していたが、自己負担金を支払うことができないため」I0.8%になり、中学校保護者ではそれぞれに5.0%と5.0%です。子育て世帯の「くらしと健康」の実情を調べて対応していくことが必要です。

3.自治体は加入者の「くらしと健康」の実態調査を

 『県国保運営方針』の「方針策定の背景」にあるように、『国保』は「無職者・非正規雇用労働者等の低所得者の加入者が多く」、「年齢構成が高いこと等により医療費水準が高い、所得に占める保険料負担が重い」人たちが多数を占める制度です。
 『後期』加入対象者は2008年4月までは『国保』と被用者保険に加入してました。引き下げが続く年金と昨年10月からの窓口の2割負担化、さらに低い年金からの天引きによる「徴収」が、多くの加入者の暮らしを困難にしています。今後、団塊の世代に始まる『国保』から『後期』への加入が増えるなか、『後期』ついても『国保』と一続きのものとして実態調査をすることが必要です。
 二つの制度は、憲法が定めた地方自治、住民自治の制度です。加入者のくらしと働き方、健康の実態や滞納者の実情などを調査し、社会保障としての制度にしていくことが緊急・切実に求められています。

以上

~特徴的なコメント~

Q6-②-支払いで困っていること(無理して支払い)
く国保コメント>
少ない年金から介護保険料、国保料、所得税、住民税を天引きされ、手元に少なくて、生活が厳しい。均等割は、0オからとられ、内訳も後期高齢者支援金分と介護分とは、あまりにもひどい。公費負担を強く求める。(70-74才:無職)

ムリなく支払いできる年金をもらっていないのに、差し引かれるので(高い)本当は、大変です。今後いつ滞納することになるかもわからない。(70-74才:無職)

いつもスーパーで値引き品ばかり買って切り詰めている。電気代の値上げも、便乗値上げは消穫R等)まで消費者が負担するのはおかしい。(70-74才:無職)

とにかく額が多い。他の色々なものが値上げされているので、生活費が多くかかる。全体的に見れば収入は変わらずか、下がる(年金なので)のに支出(税金、生活、ガス、電気、etc.)が多くなるので、全体的には家計はマイナスになる。結局、生活費、光熱費を削ることになる。年寄りは早く死ねということですか?(70-74才:無職)

Q6-③-支払いで困っていること(滞納)
く国保コメント>
1回分、納期の支払い額が多すぎて保険と税金支払い額が重なると、生活する資金に響く安くしてほしい。健康面がきびしい働けない。(40-59才:アルバイト)

Q9.国や自治体への要望
【保険料値下げ・高すぎる】
「国民皆保険制度」になっているのに、保険料を支払うのになぜこんなに苦労しなければいけないのか。国や自治体は負担軽減のためにもっと努力して欲しい(70-74才:無職)

国保料負担軽減を要望。国保料支払うため、受診抑制が起こっていると聞くが、あまりに高すぎると思います。(70-74才:無職)

保険料をやすくしてほしい。自己負担分が徐々に上がっている。2割は2倍である。元に戻してほしい
フルタイムで働いて税をしっかり納めてきたのに、税金だけで年に60万円にもなる。特に保険料は夫と二人で20万円ほどになり年金は減っていくし…。(75才以上:無職)

【負担割合軽減など】
く国保コメント>
後期高齢者医療保険が、2割(窓口)払いになりました。私はまだ67歳ですが、将来3割になる(後期高齢者医療保険が)のではないかと、危惧しています。また1割に戻して欲しいと思っています。(60-69才:会社員・パート)

<後期コメント>
介護施設に入所中の夫の医療費・介護費が2割負担になり今後が不安。1割負担に戻して欲しい。(75才以上:無職)

昨年医療費が倍になり、介護保険料などの税も高く年金では支払えなくなってきます。物価も高く暮らしは非常に苦しい。文化的な楽しみもひかえ、家でじっとしているしかない。岸田政権は高齢者はながいきしなくてよい!と云われているように感じています。(75才以上:無職)

私は8月生まれなので、たった1ヵ月半1割負担で、すぐに2割負担になり、くやしく思いました。(75才以上:無職)

2022.10から窓口負担が2割になり請求額にビックリです。高齢者は、身体機能の低下と共に病気も次々出てきて何か所にも通院が必要になります。保険料は高い上に窓口負担まで倍額にするのは許せません。せめて一割負担に戻して欲しいです。(75才以上:無職)

【マイナンバー保険証やめて】
紙の保険証を廃止して、マイナンバーカードに強制的に切り替えることには、反対です。高齢化に伴い、忘れることが多くなり、カードを無くすことも考えられます。(75才以上:無職)

【社会保障充実を】
く国保コメント>
軍事費に使うお金を福祉、医療費に回してください(まわせ)命を守ることがしても腹いつばいにならない、かしこくもならない、体もよくならない!!(70-74才:無職)

高い国保料を払って、なお、窓口負担がゼロになるわけではなく(1割、2割、3割)病気や事故等の時のために入院費や治療費も別にとっておかなくてはならなかった。国民皆保険制度を守るためにも、保険料引き下げを公費の引き上げをしてもらいたい。(70-74才:無職)

夫の年金から引かれているので実感はないが見ると高いと思う。私だけでも介護保険料、住民税など入れると年金の10%以上を軽く超える!!しかも医療費は今3割なのでもっと実質かかっている。夫婦で年金があり贅沢しない生活なので何とかなっているけど、もっと国や県は医療、介護などに予算をつけてほしい。(60-69才:無職)

岸田さんは、政治は国民の生活や生命を守る役目を持っていると国会答弁で防衛費の議論の時によく口にします。そうであるならば、高い健康保険料を低く、誰でも受診可能な体制にして欲しい。高齢者に優しい政治をして下さい。(70-74才:会社員・パート)

均等割はひどすぎる。18歳以下はやめるべきだと思うが、また収入のない高齢者も均等割を課すべきではない。(60-69才:無職)

<後期コメント>
国庫負担を増やして国民から保険料をあつめないようにしてほしい。消費税を払い、介護保険料を払い、二重、三重のとられ方、軍事予算ばかりなぜ大幅に増やせるのか、怒っています。(75才以上:無職)

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